Hilo blog 9/17 言葉 感覚

2010-09-17

前回は「刺す」という言葉について書きました。

では、鍼を扱う人間はどういう感覚なのでしょうか?
少なくとも、厳密に言葉で表すのであれば「刺す」というのは正しくありません。

これは感覚ですし、私の個人的な表現ですが「滑らす」「潜る」「探る」「感じる」といった言葉が思い浮かびます。
治療中の感覚は、それらの言葉が近いと思います。

鍼の刺激はツボをねらったり、筋肉の硬いところなど症状によって刺激を使い分けるのですが、おそらくミクロン単位で操作を行っているはずです。
これは特殊能力でも大げさに言ってのでもありません。
本当にそういう感覚で鍼を操作しています。

そしてその感覚は患者さんの「気持ち良い」「ちょっとキツイ」「何も感じない」という感じとも連動しています。
患者さんが「気持ちよい」と感じているときは、こちらも気持ちよいのです。
これは、何度経験しても不思議ですね。
そして、患者さんと感覚を共有して治療を終えると治療の効果も高いのです。

あんまり感覚に頼って治療をしていると、後で検証もできませんし再現も困難なので、東洋医学の理論との両輪で治療は進めるようにしています。

しかし、この感覚は非常に興味深く楽しいので没頭しそうになります。
感覚と理論の両輪を上手く回して治療していくのが理想なのですが、まだまだその頂は上にあります。

Copyright(c) 2015 http://www.hilo89.jp/ All Rights Reserved.